2013年2月24日日曜日

くろいとりとしろいびにーる。

演劇とは何か。
一度は考える問だろうが、これは最早禅問答に近い。
答えは見えそうで視えない。
烏の死骸に似ている。答えがありそうでない。
だがぼくは、一度だけ烏の骸を見たことがある。
それはかなり不自然な格好で、ゴミ捨てばのビニール袋に刺さった形で死んでいた。
朝方ゴミ捨てばで寝ている酔っ払いにちかいポーズである。
その骸からはかなりのインパクトがあたり数メートルにわたって放射されており、一度見た人は自身がとんでもないものを見てしまった、というなんともよくわかない表情で去って行く。だがどの顔も、嫌悪感よりも薄ら笑いが表情に出ていたのが面白かった。
演劇の問も、だからそんなもんなんだろう。
見た人は、きっとちょっとした薄ら笑いをうかべ、誰かに話してやろうなんて思いながらも、やっぱり話すのを躊躇してしまう。それは教室の窓からみた空色の犬に、下校中にみた紫色の夕焼けと同じものだからかもしれない。
では。