2012年12月14日金曜日

ラーニング的な。

今日は池袋にドカンとたっている東京芸術劇場プレイハウスにて、蜷川幸雄氏演出の『トロイアの女たち』を観劇してきた。エウリピデス作のギリシャ悲劇であり、作品時間軸としては『イーリアス』と『オデュッセイア』のちょうど中間に位置する戯曲である。
今回の上演は日本人キャスト(白石加代子さんや和央ようかさんなど)とユダヤ系の役者陣とアラブ系の役者陣が合同で舞台にたち、交互に母国語でセリフを言っていくという演出になっていたのだが、これがとても不思議な魅力をかもしだし、私の脳をフル回転させてくれた。日本語で聞いたセリフを別の言語で聞く事により、最初はただの音でしかなかったヘブライ語やアラビア語がだんだんと形を手にいれていき、最終的には一つ一つの言語の特徴を把握できるまでいくのだから、なんとも不思議である。また、日本語が外国語に聞こえるようになったのも不思議な体験であった。まあ観終わった後は勉強後のようにヘロヘロだったが。。
まあ考えてみれば某英語教材のような構成だから当たり前かもしれないが、舞台とは少なからず勉学であり、その部分については面白くないとか、あきたとかは言ってはいけないと、今回の舞台を観てあらためて感じた。私がそう思ったのも、上演中席をたつ観客が多々いたからだ。それも半分は中年の男性で、苦い顔をしながらドンドンと歩いて。確かに日本語でセリフを聞き、それから字幕を見ながらヘブライ語、アラビア語と聞き続けるというのは疲れるし、正直かったるい。が、それは全て観終わってから言うべき事であるし、また終わってからもあまり言うべきではないと思う(だから前記のかったるい発言はなかった事にしてくれ‼)。それにこちらは楽しく勉学に励んでいるのだから、それを苦い顔でドンドンと邪魔をするのは、図書館でガチャガチャ音漏れしながら漫画を読むヤカラと似ていて私はあまり好きではない。それがまた若人に文句や学力問題を押し付けてくる中年男性というのだから、たまったもんじゃない。
まあ、つまり、頭をつかう舞台もたまには必要ではないかと、自分も含め舞台にかかわっている人に対して言ってみたり、したかったのかな?
あ、舞台そのものは普通に面白くて、様々な問題を考えるよい機会にもなるのでぜひ観劇を。